インターネット通販大手のAmazonジャパンが運営する取引サイトにおいて、出品者に対し不合理な価格の引き下げを強いていた疑いがあるとして、公正取引委員会は2024年11月26日に【独禁法違反】の疑いで、同社を立ち入り検査しました。
一体何が起こっているのでしょうか?
誰しもが使ったことがあるであろう、もしくは聞いたことがあるであろう【Amazon】
運営する取引サイト上において、同じ商品が複数個ある場合『カートボックス』という場所に、ある条件をクリアした出品者の商品のみが推奨品として目立つように表示されるようになっているとされています。
他の出品者の商品を見たい場合には、別ページに移行させるというものです。
では、上記で述べた『条件』とは何か?
それは、Amazonが要請する『価格の引き下げ』に応じた場合です。
具体的な金額はまだ不明ですが、他のサイトよりも「競争力のある価格」すなわち「Amazonで買った方がお得だと消費者が認識する」価格を要請していたとのことです。
さらに、Amazonが提供する配送サービスや代金回収などのサービスの利用をすることも、優先的に表示される条件となっていたようです。
このように、Amazonは自社サイトの競争力を高めるために、出品者へ不合理な価格の引き下げを強要していたと、公正取引委員会は見ています。
確かに、Amazonで買った方が安いなどの話しは良く聞きます。
しかし、それが企業努力やAmazonの独自の互助サービスではなく、単なる「安くしろ」の鶴の一声であるとしたら、消費者としても裏切られたような気分になりますよね。
とりわけ、Amazonをめぐっては海外でも多くの議論を呼んでいます。
Amazonのビジネスモデルに対し、欧米の規制当局も問題視しています。
アメリカ連邦取引委員会は2023年9月26日に17州の司法長官と共に、Amazonを提訴しています。
米国では、オンライン市場での排他的な独占力を維持しており、Amazonは『反トラスト法』に違反してます。
アメリカ連邦取引委員会は「1億人以上の買い物客に影響を与えている」と主張。
その他にも、出品者に、月額料金や広告料などとして総収益の50%にも上る高額な手数料を支払わせるなど、独占的な地位を利用して莫大な利益を得ているとも指摘しています。
一方で、日本や米国で散々に叩かれているAmazonはなんと言っているのでしょうか?
Amazonの担当者はアメリカ連邦取引委員会の提訴に対して、
「アメリカ連邦取引委員会の思い通りになれば、顧客が選択できる製品が減り、価格は上昇し、消費者への配送が遅くなり、中小企業の選択肢が減ることになる。これは法律が意図していることとは正反対である」
として主張。
真っ向から反論しています。
私の私見としては、資本主義の社会において、特定の企業が資産を独占してしまう状況になるのは当然の流れであると思います。
なので、頭ごなしに「Amazonは悪者」「Amazonは資本を独占化している」とは言い難いと考えております。
しかし、強者になったからには弱者への配慮をする責任も発生するはずです。
今回の場合は、出品者に対しての抑圧的な対応・搾取などが問題とされています。
このような行為に対して、Amazonへの批判や危険性を唱える当局が現れるのは仕方ないとも思います。
Amazonは使いやすいサービスを提供していると評価されているのですから、その高評価のまま、出品者に対しても公平で合理的な配慮をしなければいけません。
いずれにしても、巨大企業の市場独占が問題となっている昨今。
今後の動向に注目が集まりそうです。