日本人格闘家『朝倉海』がUFCでデビュー戦にしてタイトルマッチでメインイベント!!
相手はブラジル人34歳ブラジリアン柔術黒帯の『パントージャ』フライ級チャンピオン。
チョークでの一本が多いイメージですが、殴ることも得意としており、フライ級チャンピオンの座に君臨しています。
一方で朝倉海氏。
朝倉海の格闘技への挑戦
愛知県で生まれた朝倉海氏。
実の兄は総合格闘家で実業家、YouTuberとしても知られる『朝倉未来』です。
兄弟ゲンカが絶えなかったと言う少年期、親の勧めで空手を習い、その後教師の勧めで相撲を始めました。
わんぱく相撲ではなんと短躯ながらも優勝。
しかし、それからしばらくは格闘技や武道には関わっていなかったようです。
高校生の時代に飛びます。
当時『路上の伝説』とさえ呼ばれていた不良の兄『朝倉未来』さんが更生。
本気で格闘技を始めていた時代でした。
その際に、スパーリング相手として弟の海さんが指名されました。
当時の映像が残っていますが、充分に格闘家と呼べるレベルの未来選手の打撃を、海さんはなんと全て躱し、見事なスパーリングを見せてくれています。
その時、未来さんだけではなく周囲の人々が、海さんの中に眠る格闘技の才能に気がついたとのことです。
工業高校に進むも、禅道会という空手道場に入門。
経験豊富な選手相手に、なんと優勝してしまいました。
ここでもアグレッシブな打撃が光る戦いを残しています。
その後、本格的に格闘技に専念。
働きながら格闘技の練習を行うハードな毎日を過ごします。
サラリーマン時代を知る友人はこう語ります。
「朝の出勤時に階段ダッシュをしてから働き、定時に終わると山へ行って激しい練習をしてからさらに格闘ジムへと行っている凄いヤツがいると聞いた」
才能だけではなく、努力をしていたことが分かりますね。
格闘技プロモーターDEEPでプロ初戦。
腕十字で一本勝ちを収めました。
さらに、OUTSIDERでも好成績を残し、好戦的な戦い方で観客を魅了しました。
前例に縛られない男
RIZINに参戦してからの注目された試合としては、やはり堀口戦は外せないでしょう。
当時、ベラトールとRIZINの両団体でチャンピオンだった堀口恭司選手。
伝統派空手出身で、日本人最強との呼び声も高い選手です。
ネームバリューでは圧倒的に堀口選手が勝っており、ネットでも確実に朝倉海選手が敗北すると予想されていました。
しかし、なんと1R・KO
一気に栄光の道を歩み始めた朝倉海……
しかし、その後は挫折も多々味わいました。
栄光と挫折
RIZINでチャンピオンになった朝倉海選手でしたが、初防衛戦ではなんと敗北。
さらに、堀口選手のリベンジマッチでは敗北。
苦汁を舐める結果となり、12月のジレンマとさえ呼ばれていました。
しかし、ここで諦めないのが朝倉海選手。
練習環境の変化やトレーニングによって進化を果たし、連勝を記録しました。
ですが、今度は右拳の怪我が悪化。
手術を決断し、治療に専念。
手術が成功するとは限らないという賭けに、見事勝ち怪我を治しました。
そして、2023年。
返り咲いた姿を、日本中が見ることになります。
王座奪還
バンタム級タイトルマッチに挑戦。
しかし、ここでなんと予想外の出来事が。
王者フアン・アーチュレッタが体重オーバー。
2.8キロの超過により、王座は返還され、厳しい戦いを余儀なくされました。
格闘技の世界で体重とはすなわち強さに直結する部分です。
それ故に階級制を導入しているので、体重約3キロの差はかなり不利だと思います。
ですが、なんと2R膝蹴りからのパウンドでTKO勝利。
第6代RIZINバンタム級王者となります。
そして、朝倉海は世界へと羽ばたいて行きます!!
UFCでのバトル!!
相手のパントージャは、34歳のブラジル人でブラジリアン柔術の黒帯を持ちます。
やはり、チョークでの一本が多いイメージです。
さらに言えば、朝倉海という選手が如何に日本最強でも、世界最高峰のUFCデビュー戦が、まさかまさかのタイトルマッチでメインイベント。
これは異例とも言えます。
両者のファイトスタイルは対照的だとも思えます。
前述の通りパントージャはグラップリングを中心のファイター。
朝倉海は打撃中心のストライカーで、膝蹴りはパントージャも評価しています。
この戦いが素晴らしいものになれば、2017年以来の日本でのUFC開催も実現が現実味を帯びます。
まさに、日本中そして世界が注目する戦いですね!!
ちなみに会見では、
「チャンピオンならもっと見応えのある戦いをしないとね」
と朝倉海が挑発。
「当日、試合で見せてやるさ」
パントージャも応戦。
KO宣言。
格闘家として、吐いたツバは飲めない。
入場から既に、朝倉海WORLDが拡がっていました。
RIZIN式の入場に、笑顔での登場。
観客の歓声も……おっと少ない?
まぁ、それもココからでしょうね。
UFC:朝倉海VSパントージャ戦
【王者:アレッシャンドリ・パントージャ】34歳・165㎝・三度目の防衛戦・28勝5敗・6連勝中
【挑戦者:朝倉海】31歳・172㎝・21勝4敗
【ルール】5分5R制
第1ラウンド
多少のブーイング。
パントージャへの熱気。
そんな始まりでした。
まずは跳び膝蹴りからのスタート。
しかし、そこからケージに押し込まれていました。
近い距離での戦い。
パントージャは足を離さず、しっかりとテイクダウンを狙ってきていました。
両者の狙いが分かった瞬間です。
朝倉海はスタンド、パントージャはグラウンドです。
グラップルを切り、オーソドックスの立ちでの攻防。
朝倉海のカーフ、インロー。
打撃では確実に朝倉のペースでした。
アグレッシブな打撃。
蹴りの応酬。
打撃戦といった雰囲気で、第1Rが終了しました。
膝が惜しい、という印象。
セコンド(朝倉未来)からは「隙間から入れろ。右ストレートから左膝」と指示が飛んでいました。
第2ラウンド
打撃が上手く入った瞬間に、パントージャが掴みに来ました。
バックを捕られかける瞬間もあり、グラウンドに持ち込まれる場面。
パントージャ選手は自分のペースで戦っていましたね。
蛇のようにパントージャの腕が朝倉海の首に巻き付き、締め付ける!
朝倉選手も耐えましたが、マウスピースが見えてしまいました……
ギアネイキッド・チョークで一本。
第2ラウンド2分の時点で、勝利を奪われました。
勝利者インタビューにてパントージャは、
「これがUFCのチャンピオンのレベルだ。ベルトは取れるものか!自分は最強だ。最強を証明したいのであれば、また戻ってこい」
と、語りました。
残念な結果となりましたね。
まとめ
これから、おそらくSNSやネットニュースでは朝倉海をボロカスに言うでしょう。
しかし、敵陣に切り込み、完全アウェーで充分に見せ場を作れたことはレベルの高さを感じさせられました。
ですが、同時に課題も見えてきました。
朝倉海さんは打撃戦をバチバチに狙って行きました。
その姿勢は見事です。
しかし、逆に狙いすぎた点もあったかと思います。
スタンドでの攻防が目立った第1Rは、膝蹴りも含めてパントージャに効かせていた場面もありました。
しかし、相手はグラウンドの達人。
第2ラウンドの序盤でのタックルを切ったのは、研究してきた成果だと感じます。
ですがその後のゲージ際での攻防、そしてバックを捕られた瞬間、さらにはサブミッションへの対処などは課題が山積しているでしょう。
解説者の言葉を借りるのでしたら、パントージャが付き合わなかった点が重要な点です。
第1Rは朝倉海。
第2Rは完璧にパントージャのペースでした。
場数やケージでの戦いに慣れていたパントージャが、一枚も二枚も上手でした。
しかし、結果論を述べるのは誰にでも出来ることです。
日本人がUFCのメインイベントを張れるのだぞと、世界に見せつけたことの功績は大きいでしょう。
まずは、お疲れ様と言いたいです。
KAI