この記事を見られている方は、おそらく空手に興味のある方でしょう。
様々な流派が存在し、全国各地に点在している空手。
習い事でも非常にポピュラーですよね。
しかし、稽古に行く前にこう考えたことはないでしょうか?
「空手って、実際には何をするんだろうか?」
まさか……竹刀でぶっ叩かれたりするの!?
いえいえ。
令和の現代でそのようなスパルタは通用しませんし、もしもそんな道場があっても潰れるのは時間の問題でしょう。
ココでは、空手の実際の稽古の流れをざっくりとまとめます。
参考になれば幸いです。
前提条件
私がやっている空手とは俗に言う『フルコンタクト空手』です。
より厳密に書けば【極真空手松井派】と呼ばれる、極真会館という団体です。
ちなみに、別流派の新極真空手にも数年間所属してました。
何が良いとか、どこが悪いとか、そんなことはココには書かないです。
この記事を参考にするにあたっての大前提を提示しているだけです。
フルコンタクト空手は「フルコン」とも呼ばれ、直接打撃制空手です。試合ではグルーブ無し、防具無しで殴ったり蹴ったりします。顔面殴打は禁止されていますが、顔への蹴りは許可されています。
よく「キックボクシングの顔無し」と言われたりしますが、初心者のうちは、そんなフンワリとした認識でもOKです♪
実際にやってみると違いはすぐに分かると思います。
それと、後述しますが練習ではちゃんと大人も子供も防具は着けますので御安心を!
次に、私見を述べる場面もあるので私のスペックを。
身長180㎝体重110kg。運動歴は高校生の頃から少林寺拳法をやっていました。
では、実際の流れを見てみましょう!!
押忍で始まる
道場に入る際。
「押忍!!」
挨拶です。
押忍という言葉には、尊敬や感謝などの精神が込められているとされており、気持ちが萎えそうな時でも元気に「押忍!!」と声に出すのは大切です。
まあ、上記のような精神的意味に興味が無くとも、稽古のはじめに師範や先輩たちへ挨拶するのはとても大事です。
子供たちも数ヶ月もすれば当然のように「押忍」と挨拶できます。
礼儀作法の第一である挨拶が、身につくのです。
それに明確な挨拶や用語がないと「うぃ~す」や「うっす」のようなヘンテコな言葉遣いになってしまいます。
なので、まずは元気に!!
押忍!!
準備運動
大切な準備運動です。
道場に来るのが遅くなったとしても、コレは欠かさずに行いましょう。
フルコンタクトの練習は少しばかりハードになりますし、なによりも蹴りなど関節を多く使う場面もあります。
必ずストレッチに加えて汗をサッとかく程度の運動を行い、身体を温めましょう。
特に冬場は怪我が多くなるので、重要です。
それと、かなり見過ごされてしまっていますが指のストレッチも大事!
突き指は治りが遅くなると大変ですので、ゆっくり丁寧にやりましょう。
ちなみに、この準備運動は稽古の始めに全体で行います。
はじめは先生のやり方をマネするとイイです。
焦らずにやりましょう。
もしもこの準備運動の際に、身体に変調を感じたら練習のペース配分を考えましょう。
基本稽古
主にその場に居ながら、突きや蹴りを行う練習です。
反復練習ですので、徐々に慣れていけば身体が自然と動いてくれます。
やり方が分からない時には、迷わずに先生の動きをよく見たり、質問をすると良いでしょう。
様々な立ち方や、様々な技をしますが、全てを暗記する必要はないです。
慌てずにゆっくり丁寧に。
最初のうちは……
「他の人はあんなに足が上がるのに……」
「これくらいで疲れてしまう……」
「大きな声を出すのが恥ずかしい」
など、色々な障壁が出てくるでしょうが、あまり深く考えずに続けましょう。
継続は力なりです。
ヘタウマはダメですが、やる前にあれこれ考えても始まらないのでまずは身体を動かしてみましょう。
案外、ストレスがフッと消えていくのを感じるかも♪
移動稽古
基本の動きを、そのまま道場を往復しながら行う練習です。
始めた時、結構ココで疲れてしまう人が多いです。
ですが……
それでイイと思うのです!!
疲れもしない。汗一つもかかない。息も上がらない。
そんな練習を貴重な時間を割いてやる必要は無いですよね?
最初の頃は、どうしても他人の動きに合わせて動くので、大変に疲れます。
でも、やり続けていると自分なりの動き方などが確立されていきますので、どうか不安に考えずに続けて下さい。
初めから高度な蹴り技などを行うの?
それは無いです。
道場によりますが、ある一定の帯以上の人と初心者の人、この両方に同じことをさせることは無いです。
高度な練習や、複雑な連続蹴りなどは慣れてからやることが大半です。
私の道場では「緑帯の人は上中下の蹴りを。それ以外の人はまず、高く蹴ることを意識して一発ずつ蹴ってみて下さい」と指示が飛びます。
ゆっくりと取り組みましょう。
型稽古
空手に限らず、武道には『型』というものがあります。
東京オリンピックにて華麗で見事な空手の型が披露されたことは、記憶に新しいと思います。
あそこまでキビキビしたものではなく、きちんと動きを覚えます。
道場によって型稽古をほとんどやらない
これは私が別流派の空手道場に通っていた時です。
その道場は、とにかくぶん殴り合って、蹴り合って、なんなら練習後には互いの腹を思いっきり殴り合って腹筋の鋼鉄化を目指すクレイジーな実戦派道場でした。
確かに、試合などでは好成績を残す選手も多かったですし、雰囲気もアットホームでした。
しかし……毎回、昇級昇段試験の前だけ思い出したかのように『型稽古』をするのです。
黒帯一歩手前の茶帯の先輩が、白帯の行う型を覚えていなかったのは衝撃的でした。
その道場では、型というものは試験の前にやる『一夜漬け型』だったのです。
しかし、型稽古を怠っては空手とは呼べません。
それに、型の中に実は実際のケンカなどで使用する空手の術技が入っていたりします。
無論、それを活かすも殺すも自分次第ですが、せっかく空手を行うのでしたら、是非とも型もじっくりと勉強して欲しいと思うのです。
型の試合等もありますので、組手が苦手でもその道で花が咲くかもしれません♪
ミット稽古
ミットを持ち、そこに向かって殴ったり蹴ったりします。
しかし、かなり奥深い練習だと私は考えていつも行っています。
なぜか?
それは自分の身体を知ることができるからですよ!!
例えば、上段(自分の頭の高さ)の蹴りをやってみて下さいと言われたとします。
シャドーでは出来ていたのに、ミットに当たらない!!
例えば、中段突き(胸辺りへのパンチ)をしてみて下さいと言われます。
手首が痛い!!
上記のようなことが結構あります。
何が原因かと言えば、脳内のイメージをそのまま行うとミステイクが発生するからです。
例え話しに使いましたが、ハイキックに関しては身体が硬いか、蹴り方の問題。
パンチに関しては力の入れ方の問題が起こっているからです。
皆さん。頭の中で暴漢を一方的にボコボコにしてみて下さい。
できますよね?
ですが、それが現実味を帯びていないことは理解していると思います。
原理は同じです。
基本稽古と移動稽古で動きは覚えた。
しかし、いざ組手となって怪我をしたら大変です。
そこで!ミット稽古が大切なのです!!
ミット稽古で自分の体の使い方が合っているのかどうか、確認してみて下さいね!
ここまでで、多分時間は1時間は経過していると思います。
次はいよいよ……組手稽古!!
組手稽古
前述したように、試合では防具無しとありますがちゃんとみんな防具を着けます。
具体的には――――
・オープンフィンガーグローブ
・すね当て
・金的カップ
・(必要であれば)マウスピース
・子供なら必須のヘッドガード
これらを装着します。
そして、どれくらいの強度なのかですが……
ココは道場によって、さらには時期によって違うとしか言えないです。
場合によっては組手稽古を行わない日もあるでしょう。
しかし、試合が近い練習日などでは組手稽古中心になることもあります。
時と場合です。
自信が無い、恐い、極端に疲れている等の場合は組手稽古は無理矢理やるのはダメです。
昔であれば「根性でどうにかしろ!」で解決でしたが、今は違います。
逆に恐々と組手を行えば、怪我をし、最終的に空手そのものが嫌いになる可能性もあります。
素直に指導者の方に正直に「休む」の旨を伝えましょう。
そして、気になる本気度ですが……
基本的には『軽く』行うのが通常です。
ガチは練習後に選手だけで行うか、もしくは志願者で行います。
最初から黒帯にボコボコにされるなんてことはまず有り得ないです。
それでも、時には『イラァ……』とする瞬間もあると思います。
喉に当たったり、目に当たったり、ツバが飛んできたり……
すべからく事故ですが、そこで『このヤロー!』とやり返したりするのはNGです。
耐え忍ぶことから学ぶことも多いです。
ましてや、そこは道場。
神聖な道場で『稽古』ではなく『ケンカ』をするのは言語道断。
コレは実戦にも実生活にも役に立つ心構えです。
一瞬の出来事で瞬間湯沸かし器のごとく激怒する癖は、ケンカでは致命的ですし、生活では家族に不快な想いをさせることになるでしょう。
常に冷静にいること。
コレは大事です。
ここで、私の実体験をひとつ。
組手で黒帯の先輩と組んだ際のこと。
私にはガードを下げる癖があり、それを意識した瞬間――――
ドッ!!
――――真っ暗――――
そして、眩しい天井のライト。
私は上段の蹴り……ハイキックをアゴに食らい、脳震盪を起こして倒れました。
しかも、アゴは一瞬外れかけたようで激痛。
前後不覚で立ち上がろうとしましたが、不可能ッッ!!
中学生たちに身体を支えてもらいながら、道場の隅で休むことに……
不覚でした……
皆様はこのようなことが無いように、危機感を持ちながら組手をしましょう。
何度も言いますが、無理は厳禁です♪
押忍で終わる
稽古が終わり、門下生は息が上がっているでしょう。
空気が薄く感じ、脳みそからはアドレナリンがドバドバ。
そして、最後――――
神前へ深く礼をして、最後の挨拶です。
全員に「押忍!!」と元気よく感謝です♪
その後に道場の掃除などがありますが、ここでは省略します。
体力を使い果たしたからといって、大の字に寝そべったりしないように!
道場から外に出るまで、稽古は続いています。
神経質になる必要は無いですが、緊張感は持ったままでいましょう。
ですが、世間話をしたり、プロテインをシャカシャカしたり、リラックスする程度は大丈夫です♪
しかし、汗でびっしょりの道着はすぐに冷えてしまうので、早めに着替えるのをオススメします。
お疲れ様でした!
いい汗をかきましたね!!
押忍!!
まとめ
かなり早足にはなりましたが、以上が空手の稽古(私の経験した)です。
初心者の間は疲れ方や、足運びにもバラツキがあり、練習に行く度に「今回は大丈夫だろうか?」と考えてしまう人も居ます。
しかし、継続していくことでその悩みも解消されます。
初めのうちは誰でも一番弱いです。
弱くても、他の誰にも負けないひとつの強みを持ちましょう。
体の柔からさなのか?
練習時間の長さなのか?
練習への取り組み姿勢なのか?
人それぞれですが、私の場合は『気合いの大きさ』でした。
声がデカいのが取り得の白帯でした(笑)
皆様のより良い空手ライフを応援します!!
押忍!!
KAI