ここ最近、都心部では凶悪な犯罪が絶えません。
強盗事件や空き巣事件。
それだけではありません。
カスタマーハラスメント『カスハラ』にて暴力を振るう事件も発生しています。
こうした世の中で、自分の身は自分で守らなければいけない……
しかし、日本には銃刀法という法律があります。
護身のためという目的では、ナイフやスタンガンなどの武器は持ってはいけないとされ、警察に捕まる恐れがあります。
では、どうするのか?
護身術――――己の肉体で身を守る。
実際、ここ最近では護身術の研修などに力を入れている企業や自治体が増えています。
『女性に対する暴力をなくす運動』に合わせ新潟県では警察署による特別養護老人ホームの職員への護身術講座を行いました。
北海道では11月14日、銀行で役席や融資渉外……言い直せば対人応対をする女性職員約70名が、犯罪やカスハラなどから自らの身を守る知識と技術を取得するために、同じく護身術を学びました。
尼崎市でも13日、高校で女子生徒約70人が集まり、痴漢や不審者から身を守る護身術教室が開かれました。
世間の護身に対しての関心度が分かりますね。
数年前になるでしょうか。
都内の高級幼稚園では、健全な肉体と護身のために、幼児にキックボクシングを習わせているというニュースを見ました。
小さな子供が「エイ!エイ!」とキックを放っている姿は、ほっこりしました。
ですが……
生兵法は大怪我のもとです。
結論から申し上げますと――――
強くなったという誤った自信が最も危険
であると、考えています。
具体的には、一夜漬けのような護身術で不審者を倒そうとするのは無理があると言うことです。
護身術が役立たずだと!?
そう、怒らずに聞いていただければ幸いです。
私は、プロフィールにも書いていますとおり、長い期間武道や格闘技に身を投じてきました。
ボランティアで護身術を夏休みの女子生徒たちに教えていた経験もあります。
ですが、正直に言いますと有段者がいくら懇切丁寧に教えても、素人が1~2時間で強くなるわけがないのです。
それは、皮肉なことに有段者自身が最もよく理解していることだと思います。
黒帯を締め、大会で勝利をもぎ取るまで、どれだけの時間を費やしてきたか――――
大量の汗と涙――――
諦めない心――――
そしてなによりも継続――――
その前提条件無しに、強さは有り得ないと思います。
それなのに「こうすれば不審者なんて一撃だ」「これさえ覚えておけば安心」というのは、ある意味では一種の詐欺に近いとさえ感じます。
ここでもっと分かり易くなるために、たとえ話をしましょう。
私は身長180㎝体重110キロあります。
黒帯を習得し、大会の優勝経歴もあり、自分で言うのもなんですがケンカをしても最悪死なない自信はあります。
さて、こんなクマさんのような男が女性の前に現れました。
仮に、私の妹と仮定しましょう。
妹は身長155㎝体重50キロ弱――――
私の経験則になりますが、体重が2倍になると、テクニックは通用しずらくなります。
攻撃が命中しても、肉の奥にダメージが届かない……と、イメージしていただければ、理解しやすいと思います。
勘違いしてほしくないのが、コレはあくまでも一般論を話しているということ。
150㎝もない70代のお爺さんに投げられたこともあります。
達人は確実にいます。
しかし、全員が達人になれるワケでもなければ、達人になりたいワケでもないのです。
話しを戻して、妹の前にわたくしクマさんが出てきた!
どうするのが一番でしょうか?
殴る?
投げる?
捻る?
ココで注意してもらいたいのが――――
なるべく近寄らない、近寄らせないこと
です。
では、上記のような攻撃方法はどうでしょうか?
手は足よりも短い……
投げるためには密着しなければいけない……
なんなら捻るためには相手の仕掛けを待つことになります……
やめておいた方が賢明と言えるでしょう。
ガッチリとホールド――――抱き締められたら、ほぼ勝ち目はなくなります。
いざという時、人間の思考というのは停止します。
護身術教室でいくら高等技術を学んでいても、それを実行できるメンタルとテクニックは別の話しです。
じゃあ、どうしたらいいのか?
もう一度おさらいします。
180㎝110キロの男VS155㎝50キロの女性――――
私の答えとしては……
金的を軽くでいいのでスパーンと蹴り上げ、一気に逃げて下さい!!
いや、コレがマジです。
多分……いや、絶対に妹にコレをされたら、私は1分間は動けないと思います。
股間の位置というのは下です。
絶対の弱点として頭などをイメージする方が多くいますが、もっと下に弱点がぶら下がっているのです。
そもそも、金的【睾丸】は内蔵のひとつです。
冷却の兼ね合いで、外にせり出しているのです。
すなわち、如何に屈強な男性でも下腹部に内蔵剥き出し状態なのです。
ホント~?
そう思われましたら、何でもいいので格闘技の試合をいくつか見てみて下さい。
ローブロー……キックが股間に当たってしまうアクシデントが結構な確率で発生しています。
そして、打たれた選手は苦悶の表情を浮かべて試合は中断。
回復に1分――――すくなくとも数十秒は要します。
日々鍛えている格闘技選手でさえ……
その間に、全力で逃げるのです。
大声を張り上げながら、人気の居る場所まで、バックもスマホも投げ捨て逃げる!!
これが、現代風の護身術であると、私は先生たちから学びました。
もしもハイヒールのような蹴りにくい靴の場合も、ここにオマケで記しておきます。
相手の足の甲を、空き缶を潰す要領で思い切り踏みつけて下さい。
コレは空手で言う『下段の踵蹴り』です。
殺傷レベルで言えばかなり上の攻撃方法です。
ヒールで行えば、相手の足の骨には穴が開くでしょう。
その隙に……やっぱり逃げて下さい。
今回ご紹介した二つの護身方法は、どちらも足を使ったものになります。
手よりも足の方がリーチが長く、そして腕力よりも脚力は三倍以上強いのです。
相手との距離を取りながら、自分は安全に、相手には耐え難い苦痛を与える。
……そうです。
武術というものは本来「ズルい」ものであり「えげつない」のです。
それが、この記事を見た方々の人生に活きていただければ、幸いです。
とにかく、逃げ足を鍛えるのが一番かも知れません。
では、安全な日常を過ごしましょう。
KAI