【パワハラ問題の逆風を乗り越え再選した斉藤知事。しかし、公職選挙法に違反!?】
兵庫県知事選にて運用されたSNSをめぐり、公職選挙法に抵触する疑いが指摘されています。
騒動の発端は、選挙期間中に斉藤氏のX(旧Twitter)をはじめ公式応援アカウントやYouTubeなどの運用をしていたとして、兵庫県西宮市のPR会社の代表が『管理・監修』を行っていたと発信したのです。
問題は、陣営側から対価が支払われていたのかどうか……
もしも支払われていたとすれば、公職選挙法が禁じている『買収』に当たります。
よって、原則は『ボランティア』での協力なのですが……当該のツイートには『仕事』と書かれており『ボランティア』という言葉は一度も出てこなかったのです。
こうした問題視する声に対して、11月27日に斉藤氏は代理弁護士を通して会見を行いました。
今回の疑惑については、
「事実ではない記載がある」
と、全面的に反論する姿勢を取っています。
「事実である部分と、ない部分が記載されている。『広報全般』というのは全く事実ではない」
おや?
『事実である部分』とは……?
代理弁護士は選挙中のSNS運用については「基本的には自分(斉藤知事)が行っていた」としています。
しかしながら、PR会社の代表は『打ち合わせ画像』や『斉藤氏自身が同席している写真』なども添付しており、疑問が残ります。
それに対しては「一部演説会場での動画撮影とSNSのアップは代表が行っていた」と認めました。
少し話が違うぞ……という気もしますし『一部』の意味する部分はどこまでなのかが不透明です。
さらに代理弁護士はPR会社の代表の発信について「盛っている」という、なんともナウい表現で非難しています。
斉藤氏側の主張をまとめると次の通りになります。
・失職が決まっていた9月にボランティアを探していたところ、当会社と出会う。
・会社を訪問し、1時間ほど面会。SNSの運用についてなどの説明を受けていた。
・その後見積書が示され、チラシやポスターデザイン、公約紹介のスライド作製、公報のデザインなどの業務を依頼。
・同月に会社側から約71万円を請求。
・斉藤氏側は数日後に支払った。
・両者の間に、これ以外の金銭のやりとりは無い。
なるほど……
ボランティアを探して、結果的に有償の業務依頼にたどり着いているところには、ややクエスチョンが残りますが、そうするとPR会社の代表はかなり誇大表現をしていることになります。
斉藤知事といえば、パワハラ問題が大きく取り沙汰された人物として知られています。
パワハラ問題については既に多くの記事や発信がされているので、割愛させていただきます。
ただ、若い時代から若手キャリア組としてチヤホヤされていたことや、おねだり行為など、人間性にはかなりの問題がある人物であると言わざるを得ないでしょう。
しかし、パワハラ問題が報道されていた時期に、兵庫県の県民に対してマスコミはインタビューや調査を行っていました。
その中で「辞めていただきたい」「辞職するのが当然」という声が多いのは理解できます。
ですが、こんな声もありました。
「心を入れ替え、誠実に県政に務めてくれるのであれば、支持する」
なんともビックリ。
しかも、このような擁護する声は案外多かったと記憶しています。
なんでもこの斉藤知事、人柄はさておき仕事は出来るらしいのです。
前知事の残した負の遺産や、県民の不満、なによりコロナ対策での功労を評価する見方もあります。
高級車センチュリーを公用車としていたのを廃止。
前知事の時代に建設予定だった無駄な費用の削減。
コロナ対策に関しては、充分な対策案や積極的な正しい情報の発信などを行い、自身もコロナに感染。病床に伏していながらもX(旧Twitter)にて病状と、必要だと感じた物などを発信して、多くの不安な県民の力になったと言えるでしょう。
そもそも斉藤知事は『若い時代に任せたい』という自民党と県民の声によって当選した人物。
変革という意味では、それなりに尽力を尽くしたとも言えます。
しかし、パワハラ問題では「一死をもって抗議する」と自死した職員による告発が問題視されました。
おねだり行為や高圧的で殿様のような態度。
政治資金のパーティーなどにも関与していたとされています。
斉藤知事は当時「嘘八百」「事実無根」と真っ向から否定。
なんでも副知事から『5回辞職を促した』ものの、断ったらしいです。
しかし、自民党・日本維新の会・公明党・共産党・ひょうご県民連合そして議員たちが辞職を申し入れました。これにより斉藤知事は『4会派』『全議員86人』に辞職を迫られるという異例の事態に陥りました。
包囲網が完全に作られたと言えます。
兵庫県議会に提出された知事に対する『不信任決議案』は史上初の全会一致により可決。
斉藤知事の失職は確実なものになりました。
再選した斉藤知事は、職員とのコミュニケーション不足などの反省点を残しながらも、あくまでもパワハラには否定を貫いています。
一定の評価と全国からの非難という、二つの意見に揺れた今回の知事再選。
そこに、さらにPR会社への買収問題という爆弾が投下された。
まだまだ叩けばホコリが出てくると言えるでしょう。
今後の動向に注目が集まります。
KAI