【働きたくても働けない40~50代】
「完全に見捨てられている」
「1回、お試しでイイから働かせてほしい」
就職氷河期のいわゆる【ロスト・ジェネレーション】の嘆きが、今問題になっています。
失われた20年と言われるこの日本社会。
何が起こっているのでしょうか?
待遇アップは若手だけ!?
人手不足・売り手市場と叫ばれて久しいです。
そんな中で給与アップなどの、待遇改善を企業は行っています。
2024年度は民間企業の75.6%で『初任給引き上げ』がありました。
今後も2025年度には自衛隊・国家公務員の初任給が3~4万円ほどの引き上げが予定されています。
若手の待遇改善が進んでいく一方で、忘れ去られている存在が居ます。
それが、
ロスト・ジェネレーション
です。
彼らはバブル崩壊後に就活に挑んだ人々。
40代~50代前半の彼らは、就職氷河期と呼ばれる苦境で、仕方なく非正規雇用に就かざるを得なかったり、低賃金のまま放置されているなど、現在においても様々な苦しみに苛まれています。
ロスト・ジェネレーション=忘れられた世代
本来であれば、昇進し職場で活躍する年代。
働き盛りで、日本社会を支える柱になっているはずです。
しかし、現実は正社員になれず非正規雇用でスキルが育たない、給与が上がらないままで忘れられています。
ロスジェネ世代は第二次ベビーブームと重なっており、数多くいらっしゃいます。
1993年~2004年に大学を卒業した世代は約1700万人。
この方々は就職氷河期世代です。
しかも、直前まではバブル経済。
キラキラした将来が約束され、最も勉強を頑張り『イイ大学に行き、イイ会社に就けば将来安泰』
という約束が、目の前で崩壊してしまったのです。
努力をするだけ努力して、その結果が悲惨な現実。
そんな彼らも、なんとかスキルを付けて正規雇用に繋げようとします。
職業訓練というものがあり、その間の生活のために『職業訓練給付金』というものがあります。
毎月10万円がもらえ、お金を貰いながら勉強をすることができる制度です。
しかし、45歳以下という制限があります。
45歳以上では1円も出ません。
その上、教材費などは自己負担で、教材の中には高額なものもあります。
金銭的な問題で職業訓練そのものが受けられない人も多く居るでしょう。
総務省の発表した年齢別非正規割合
15~24歳:24.4%
25~34歳:22.2%
35~44歳:27.4%
45~54歳:30.7%
置き去り……ロスジェネの嘆き悲しみ
若者への待遇は手厚くなっています。
しかしながら、氷河期世代への待遇改善は滞っているのが現状です。
氷河期世代ユニオン代表の小島氏はこう語ります。
「若い人たちは人口も少なく、今は売り手市場。給料が上がるのは仕方ない。しかし、ロスジェネの大半は置き去りにされている感は否めない」
小島氏の運営する団体には嘆きの声が寄せられている。
「非正規で長く働いて、なかなか就職できない」
「難関資格を目指しているものの合格できず、無職期間が伸びて普通に採用されることすら難しい」
また、著名な有識者として知られるひろゆき氏は、
「20代ならば若いのでスキルが無くてもとりあえず採用される。氷河期世代はスキルがなく、体力的にも限界が生じてくる。そうするとやはり採用されない。失業保険で職業訓練に行ってスキルを取得しても、座学でやったくらいでは正社員になれるわけないみたいなところがある」
と話しました。
この点に関しましては、私も同意できます。
私自身、事務系のスキルを得て、実際に就活をしてみましたが面接官に「たかが数ヶ月で取得した資格なんて現場じゃあ使えないよ」とバッサリ斬られたことがあります。
さらに小島氏はロスジェネの就活に関して、年齢や実務経験ではねられてしまうとも述べています。
「できれば1回、お試しでイイので実際の職場で働き実践的なスキルを身につける等が出来れば、もう少し違う結果になる。しかし、現実は書類審査で弾かれてしまっている。非正規をずっと長くやっていた方でも、スキルのある方は居る。ぜひ発掘してほしい」
たしかに、もう千と千尋の神隠し並みに「何でもイイからとりあえずココで働かせて下さい!!」という場面は、数多くありますね。
やらしてみてくれ。
書類で落とさないでくれ。
そう思ってしまうのは仕方ないことです。
相対的剥奪感
相対的貧困が話題になって久しい現在。
ロスト・ジェネレーション世代は【相対的剥奪感】が大きいとされています。
自分たちの少し上の世代(バブル世代)は就職して、結婚して、マイホームを持って……
自分たちは氷河期で、非正規で、結婚も諦めて、マイホームなんて夢のまた夢……
そんな、非情な現実に晒されてしまっています。
小学校から大学まで約束されていた将来が、突然奪われてしまった感覚がすごく強いのです。
ロスジェネは自己責任!?
努力が足らずに陥った自己責任であろうという声もあります。
果たしてそうでしょうか?
小島氏は、
「自己責任という言葉があるが、それは例えば株式投資だったら、色々な選択肢がある中で自分が選んだ株について自己責任というのは分かる。でも、氷河期世代はそもそも選択肢がない中で選べない世代だった。その選べない物の中から、仕方なく選んだもので上手くいかないコトに対しても『自己責任』と断じるのは、ちょっとおかしい」
と、疑問を呈しています。
私は以前書いた記事でも述べている通り『自己責任反対論者』です。
なぜなのか?
ロスジェネに対して、これまで日本社会はまさしく『自己責任である』というスタンスでいたのでしょう。
低賃金も自己責任。
貧困化も自己責任。
非結婚も自己責任。
さて、どうなったでしょうか?
少子高齢化社会となり、人手不足となり、ロスジェネは取り返しのつかないレベルに到達しました。
今から40~50代の方々に『4年大に行き、知識とスキルを身につけ肉体的にも強くなり、結婚して子供も沢山産め』と言えましょうか?
そして、現実的でしょうか?
無理ですね?
日本社会はかなり責任を放棄してきたと言えます。
そして、それは政治と世論の及ぼした結果であると総括できます。
すなわち、日本が弱体化するのも自己責任ということになります。
それでも良い方は、どうぞ。
ですが、少しでも日本が繁栄して欲しいと願うのでしたら、まずはこの自己責任論を取っ払わないと出来ません。
日本の少子化のかなり大きな要因の一つに『第三次ベビーブーム』が来なかったことがあります。
その理由に氷河期世代が結婚適齢期に放置されていたことが挙げられます。
非正規で給料も安く、結婚など出来ないと諦めてしまう方……多かったのは想像に難くないです。
ロスト・ジェネレーションを放置したのは国の責任です。
そして、今の若手世代が同じ轍を踏まないためにも、政治や世論の力が必要なのです。
今一度、日本の未来について考える必要がありそうです。
KAI