【父の大切にしていた物が、ゴミに……】
こう語るのは返品詐欺に遭ったAさんです。
戦車のプラモデルをメルカリで出品。
購入者が現れ、商品は発送。その後に返品依頼があり、応じて商品は返ってきました。
しかし、それはパッケージも違えば中身も違う……全くの別物
父の大切な思い出の品が、ゴミになった
Aさんは力なく語った。
『発送後、購入者からの返品依頼に応じたら、別物が送られてきた』
いわゆる【返品詐欺】です。
Aさんは仲介のメルカリサポートへ早速相談しました。
しかし、メルカリ側は「購入者が発送した物に間違いないと言っているので、取引をキャンセルしますという内容と、今回の件について補償は一切しません」と回答。
返品後に購入者とやりとりができないメルカリのルールがあるにも関わらず、かなり冷たい対応ですね。
泣き寝入りする寸前に行ったX(旧Twitter)への嘆きのポスト――――
これが功を奏したのです。
Xの投稿は大きな反響を呼び「実は自分も返品詐欺に遭った」という被害者の方々が声を上げたのです。
10万円以上のiPhoneが【本】になって返ってきた。
15万相当のポケモンカードが、別のカードにすり替えられていた。
こうした反響により、ネット上では『メルカリのサポートが不十分である』という意見が拡散。大きくなっていきました。
その結果、Aさんにはメルカリから謝罪と補償の提案があり、なんとか泣き寝入りをせずに済んだのです。
ですが、Aさんは「自分だけ補償されたのは不平等である」として、これからのメルカリのサポートの強化を望んでいます。
こうした声に、メルカリも動き出しました。
いや……動き出さざるを得なかったのでしょう。
具体的には――――
・お客様サポートの体制強化と新たな補償方針
・過去の取引などの利用状況の確認の徹底
・商品回収センターの新規開設→すり替え・模倣品などの回収や商品画像・説明などとの照合や調査
・補償の拡大
・商品実物の回収・目視確認の実施
・本人確認やシステム化による不正な補償受け取りへの対応
・不正利用者の排除
・本人確認の対象の拡大
・警察などの当局との連携強化
・不正行為を検知するAIシステムの構築(予定)
・アカウント通報機能の強化(予定)
以上はメルカリの公式ニュースからの抜粋です。
一見誠実に見える……のですが、ネット上では「遅い」という声も多くあります。
実はメルカリを始めとしたフリマ仲介サイトは、開設当時から現在に至るまでこのような取引への介入やサポートに消極的でした。
自分たちはあくまでもプラットフォームの提供とスムーズな対応をしている。
ゆえに、個人間での取引には責務は生じない。
そのような姿勢でした。
しかし、今回のような騒動から、今までのような殿様商売を続けられなくなったのでしょう。
たしかに、個人が商品を売りに出すのにはリスクが伴います。
これまで多くのトラブルがあったメルカリ問題では、数々の【自己責任論】も出ました。
まぁ、私は自己責任論には基本的に反対の立場なので、今回のような結果となって良かったと思います。
実際にメルカリを利用したことは、あります。
素人がラクラクフリマ!なぁんて感じです。
むしろ、今までは出品者側がルールに抵触する商品の出品に対しての排除の方に力を入れているようにも思えます。
タバコの空き箱を999,999円で出品していた人も見たことがありますW
そういった人たちを消すことも大切ですが、フリーマーケットは出品者がいなければ成り立ちません。
すなわち、安心して不安な時には速やかなサポートをしてもらえるという安心感。
これが大事なのです。
公園などのフリーマーケットを思い浮かべれば分かり易いかもしれません。
変な出品者も時々いますが、変なお客さんの方が多いです。
そして、運営が合理的で安全なサポートを提供していないフリーマーケットは、出品者が減り客も減ります。
メルカリはその視点が欠けていたと言えるでしょう。
さて、果たして上記のようなサポート体制強化で、めでたしめでたしとなるのでしょうか?
有識者はこう語ります。
「出品者と購入者が結託し、補償目的の詐欺行為をする可能性が出てくる」
「実物の回収と言っているが、実際に購入者の自宅などに行きスタッフが回収することは可能なのか?」
どうやら、まだまだ問題は山積していると言えます。
最後に――――
【詐欺罪】
10年以下の懲役。罰金刑はナシ。
かなり重い犯罪ということが、もっと広まれば良いなぁと思うだけです。
KAI